ATLスキルとは?失敗しないIB校の選び方を専門塾が解説!

・ATLスキルって何?どう役に立つの?
・ATLスキルが身につく学校選びの方法を知りたい!

IB教育で身につくATLスキルは授業内だけでなく、社会に出た後も活きる力です。

学校選びの基準の一つでもありますが、どのようにATLを活用して選べばいいか悩んでしまいますよね?

この記事では「ATLとはどんなスキルか?」という基礎・授業以外でどう活きてくるか・ATLを軸とした学校選びのコツをお伝えします。

この記事を執筆した国際バカロレアアカデミーは、世界トップレベルのIB卒業生による個別指導・一人ひとりに合わせた学習計画・進捗(しんちょく)管理であなたをサポート。完全オンライン対応なので、全国どこからでも相談できます。

IBのATLスキルとは?5つのスキルを完全解説

ATL(Approaches To Learning)スキルは「学び方を学ぶ力」で、大学進学や社会生活につながる力を育てます。

まずはATLスキルの解説・5つのATLスキルそれぞれの特徴・あなたの成長にどう役立つかを解説しましょう。

ATLスキルの意味と位置づけ

ATLスキルは知識の獲得そのものではなく、「どう学ぶか」を考える力です。

現代の情報社会では大量のデータがあふれ、知識だけではいろんな問題に対応できません。

情報の収集・分析・活用を自分で行い、考え続ける力を身につける必要があります。

この考えをIB教育の中心に置き、すべての教科で育てていくのに必要なのがATLスキルです。

例えばPYPやMYPでも、ただ答えを覚えるのではなく「どう調べるか」「どう考えるか」を経験させます。

さらに授業中や単元終了時の振り返り(リフレクション)は、自分の学び方を言葉にして、生徒が自分の学習スタイルを自覚する機会です。

ATLスキルは「教科の知識」ではなく「学び方を育てる力」と覚えておきましょう。

①思考スキル|問題解決力と批判的思考

1つ目のATLである「思考スキル」とは「物事を深く分析して自分で考える力」で、ATLの中でも基盤となるスキルです。

IBではただ教わるのではなく、生徒が「どう問題を見つけ、どう解決するか」を考えることを大切にしています。

そのための土台となるのが「思考スキル」ということです。

「気候変動による被害が深刻な地域で、地元住民と政府のどちらが優先的に支援を受けるべきか、論理的に主張してください。」

このような問いがあったとしましょう。

そのとき下記のように考えられると、問題解決に向かいます。

・地元住民の生活が最優先だよね。
・でも政府が整備されないと誰も救えない気がする…
・両方同時に考える方法はないかな?

このように考えるのが思考スキルであり、学習の出発点となる重要な能力といえます。

②コミュニケーションスキル|多様な文化での意見交換

IBの「コミュニケーションスキル」は、多文化なクラス環境で考えを相手に伝えたり、話を正しく受け取ったりできるようにする力です。

IBではいろんな環境で育った生徒が多いため、相手の文化や意見を理解しながら、自分の言葉で考えを伝えることが欠かせません。

例えばグループで国際問題を話し合う際、

・~という意見もあるけど、どう思う?
・私はこう思うけど、みんなはどう感じた?

と発言すれば、自分と違う考えを認め合いながら話を進められます。

コミュニケーションスキルはIBの学びを深めるだけでなく、社会で他人と協力するための基盤になる力です。

③自己管理スキル|時間管理とストレス対処能力

「自己管理スキル」は時間や気持ちをうまくコントロールし、学びを続ける力です。

勉強だけでなく部活動や日頃の悩みに対応しながら成果を出すには、時間管理や気持ちのコントロールが不可欠です。

特にIBプログラムでは多くの課題やテストがあり、計画性と柔軟な精神が強く求められます。

・○月までにこの章を完成させたいけど…テスト勉強で手一杯だ
・課題が進まない…少し休憩しようか

このように計画を調整したり、意識して休息を取り入れる行動が自己管理スキルです。

自己管理スキルは計画性と感情のバランスを保ちながら、学びを継続するための重要なスキルになります。

④社会的スキル|協働力とリーダーシップ

「社会的スキル」とは仲間と協力して目的を達成し、リーダーとしてみんなを導く力です。

IBでは「共に行う学び」を大切にしているので、ディベートやグループワークで協働経験を積んでいきます。

例えばIBDPのグループプレゼンは、役割を分担して発表をする授業です。

・リーダーとして、バラバラだった意見をまとめられた!
・メンバーの意見を聞いて方向性を決めるのが大切だと気づいた

プレゼンを作る過程で、このような「調整」や「共感」という社会的スキルが磨かれます。

社会的スキルは協力し成果を出すために必要であり、チーム力をアップする力です。

⑤リサーチスキル|調査・分析・情報活用力

「リサーチスキル」とは情報を見つけて整理し、活用する力です。

IB教育では信頼できる情報を集め、自分の意見を支える材料として使う練習を、いろんな課題や教科で身につけます。

例えばIBDPのExtended Essay(研究論文)では、自分でテーマを決め、たくさんの文献やデータを読み比べ、そこから根拠を選んで文章を組み立てます。

リサーチスキルはIBでの学び・大学進学・自分で考えて行動する力の基礎になります。

IBのATLスキルで得られる学びのメリット

ATLスキルがどのようにあなたの力を伸ばし、勉強のやる気や将来につながる力を上げてくれるのかを解説しましょう。

教科を横断して「課題解決力」が身につく

IB教育では一つの教科内だけでなく、複数の教科を横断してATLスキルを身につけ、課題解決力が上がるよう設定されています。

BiologyとHistoryで学ぶことは違っても、お互いで活かせる「共通の知識や観点」があります。

それを理解した上で各教科を学び、問題の課題解決力を身につけていくということです。

たとえば環境問題を考えるとき、科学の知識だけでなく、歴史・経済・倫理などの観点が必要なので、それらも学んで考えに活かしていくんですね。

実際にDPのEE(Extended Essay)では、生徒が自ら選んだテーマを科学・社会・言語など「複数分野の知識」を組み合わせて調べますので、まさに教科を横断しています。

IB教育は教科を越え、全体で課題解決力を伸ばしていくということです。

ルーブリックに組み込まれたスキル育成

ATLスキルは数字で評価され、「生徒の成長の見える化」がされる仕組みになっています。

ATLスキルの数字化はルーブリック(評価基準)に具体的に組み込まれているので、生徒は何をどう伸ばせばよいかを明確に把握できます。


例えば「コミュニケーションスキル」では、ルーブリックで以下のようにレベル分けされています。

  • Novice(初心者):発表で自分の意見をほとんど伝えられない
  • Practitioner(実践者):よく発言し相手に伝わるよう工夫できる
  • Expert(達人):発表内容が一貫していて明確で、説得力もある

つまりATLスキルは主観ではなく明確な基準で評価されるので、自分の成長を振り返られるしくみになっています。

IB ATLスキルが大学生活・就職で発揮されるシーン

IBで身についたATLスキルは、大学進学後・社会人としてのキャリア形成にもプラスです。

ここでは大学生活と就職活動・職場において、どのようにATLスキルが実社会で活かされるのかを見ていきましょう。

エッセイや研究論文の作成【リサーチ力】

IBのEE(Extended Essay:研究論文)は、大学で必要な論理的な調査・分析・文章構成力の「リサーチスキル」が育ち、社会に出てからも役立つ力が身につく課題です。

EEでは研究テーマの設定・調査方法の模索・分析・構成・引用といったスキルを順番に鍛えられます。

この経験によって、自力で学習する力・情報活用力・論理的記述といった能力が身につくわけですね。

EEの経験は大学の論文や研究だけでなく、社会人として情報を調べて発信するための「リサーチ力」の支えになる課題です。

グループワークや国際交流【コミュニケーション力】

IBならではの異文化理解ややりとりで身につくコミュニケーション力は、社会でのグループワーク・国際的な交流でとても役立ちます。

IBはいろんな文化的背景を持つ仲間が集まるので、お互いを尊重しながらコミュニケーションを行う環境です。

この環境でのコミュニケーションで身につく力は、社会でもしっかり活きてきます。

・言葉だけじゃなく相手の表情の違いにも気づけるようになった!
・話す順番や言葉選びをシンプルに変えてみたら、相手に伝わりやすくなった

このように、IBでのグループ活動でのコミュニケーション力がしっかりと磨かれていきます。

家庭でできるIB ATLスキル育成サポート方法

ATLスキルは日常生活の中でも身につけることができます。

ご家庭でできる、ATLスキル育成のサポート方法を解説しましょう。

思考スキルを伸ばす質問習慣

家での会話に「なぜ?どうして?」と質問を加えることで、ATLスキルの基盤である「自分で考える力」が自然に育ちます。

思考スキルを育てるには「自分の考えを振り返る質問」が必要です。

質問を通して批判的に考える習慣を、意識して取り入れましょう。

  • 「どうしてそう思ったの?」(根拠を掘り下げる)
  • 「もし他の人の立場だったらどう考えるかな?」(視点の切り替え)
  • 「どうやったらその問題を解ける?」(解決策の模索)

家庭でのちょっとした対話が、長い目で見ると大きな思考スキルの成長につながります。

自己管理スキルを育てる生活ルーティン

毎日のルーティンを少し整えるだけで、自己管理スキルが自然に身につきます。

IBでは長期課題や、複数の教科を同時に進める力が大切。

毎日の習慣をそれに寄せられると「自分でスケジュールを立て調整する力」が育ちます。

■家庭でのルーティン例

  • 翌日の予定(授業・課題・自由時間)を手帳やカレンダーに毎晩記入する
  • ポモドーロ・テクニック(25分集中+5分休憩)で集中を持続させて学習する
  • 週末に振り返りをして「何がうまくいったか」「どう改善できるか」を家族で話す

このような工夫を毎日のルーティンに加えれば、自分で学習をマネジメントする力がアップします。

コミュニケーションスキルを高めるディスカッション

家庭でのディスカッションの習慣があると、コミュニケーションスキルが育って対話力の評価につながります。

「家庭でのディスカッションが、子どもの学びに良い影響を与える」としている研究結果は多いです。

“The important thing is not just to talk to your child, but to talk with your child. It’s not just about dumping language into your child’s brain, but to actually carry on a conversation with them.”

「大切なのはただ子どもに話しかけるのではなく、子どもと話すことです。子どもの脳に言葉を押し込むだけでなく、実際に会話を続けることです。」

-Association of American Universities, ”Talking With Your Children Is Important for Their Brain Development”

家庭で取り入れられる工夫を紹介します。

  • オープンクエスチョン:「今日学校で一番驚いたことは?」「そのときどう思った?」など、「はい・いいえ」以外の答えの会話を増やす
  • アクティブリスニングの実践:子どもの話を遮らず、うなずいたり言い換えたりして「ちゃんと聞いているよ」と伝える
  • ファミリーミーティング:週に一度、お互いの気持ちや出来事を共有する時間を設ける

こうした対話を積み重ね、相手を理解して自分の考えを伝える力を日頃から鍛えましょう。

IB ATLスキルを育てられる学校の選び方

IBを取り入れている学校でそれぞれカリキュラムに違いがあり、ATLスキルをどれだけ伸ばせられるかも異なってきます。

ここでは学校訪問や説明会で確認すべきポイントと、効率的に情報を収集する方法を紹介します。

学校選びで見るべき3つのポイント

同じ「IB校」でも、ATLスキルの育て方は学校によって違います。

「どんなことを大切にしていて、カリキュラムや教育方針に反映されているか」を確認することが、ベストな学校選びのカギです。

説明会や学校見学では、以下3点を確認しましょう。

ATLスキルが学習指導や評価に明示されているか

・「思考スキル」や「自己管理スキル」などが、どのようにカリキュラムに組み込まれているか確認する

先生間でATLスキルが大切に扱われているか

・先生どうしでATLの指導を話し合う機会はあるかを確認する

生徒が自ら自分のスキルを振り返る機会があるか

・ATLスキルの成長の振り返りや、ポートフォリオ作成の時間が設定されているかを確認する

学校選びでは学費や立地だけでなく、ATLスキルが本当に育つ環境かどうかもチェックしましょう。

説明会・体験授業での質問リスト

説明会や体験授業に参加するなら、ATLスキルの育成に関する質問を用意しておきましょう。

説明会はパンフレットだけではわからない「教育現場の価値観」がわかる機会です。

しっかり質問を準備して説明会に参加すれば、その学校の特色が分かりやすくなります。

特にATLスキルの取り組みについて質問すれば、「その学校が何を大事にして教えているか」が見えてきますよ。

■質問例

  • ATLスキルを伸ばす問題や指導を、先生はどのように行っていますか?
  • 生徒が自分で考える場面や、他の生徒と意見を交わす活動はどれくらいありますか?
  • 生徒によるリフレクション(振り返り)やポートフォリオ作成の機会は、どのように設定されていますか?
  • 在校生や卒業生から、どのような力がついたと評判ですか?

このような質問を準備しておけば、ベストな学校をえらぶ材料が手に入ります。

IBで身につくATLスキルの特徴を知って学校を選ぼう

ATLスキルの解説と、身につけるための学校選びについて解説しました。

  • ATLスキルは「学び方を学ぶ力」
  • 将来の学び方や仕事の進め方、進路選択にも良い影響を与えてくれる
  • 学校説明会や訪問時には、ATLが授業・評価にどう反映されているかを確認することが大切

・どの学校が子どもに合っているのかわからない…
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