・Rubricの活用方法が分からない…
・IAやEEで高得点を取るには、何に力を入れたらいいんだろう?
・採点者が見ているポイントを知りたい!
Rubricを理解して学習に活かすのは簡単ではありませんよね。
この記事を読めば、Rubricの基本・課題別の具体例・そして高得点につなげる実践的な方法までが分かります。
IB専門塾国際バカロレアアカデミーでは、世界トップレベルのIB卒業生が個別指導をしています。
一人ひとりに合わせた学習計画と進捗(しんちょく)管理、完全オンラインで悩みを解決し、あなたの学習をサポートします。
Contents
IB Rubricの基本と全体像
Rubricを活用するには、その基本構造を正しく理解することが必要です。
まずはRubricの基本の仕組みを解説します。
Criterion(評価軸)とは?
IB Rubricの中心となるのが「Criterion(評価軸)」で、以下の4つに分かれています。
■Criterion A(Understanding and Interpretation)
・課題やテキストを深く理解できているか
・引用や具体例を主張の根拠にしているかも大事
■Criterion B(Analysis and Evaluation)
・作者の考えや表現技法を分析し、論理的に評価できているか
・「しっかり考えた評価」や「的確な分析」が高得点につながる
■Criterion C(Coherence, Focus and Organisation)
・導入から結論までが分かりやすく、主張がぶれていないか
・論理的な段落構成が採点の中心
■Criterion D(Language)
・言葉選びや文法が正確で、幅広い表現を使えているか
・文体が揃っているかや、表現が正確かも評価ポイント
これらCriterionに沿った論理・分析・表現で答案を作成しましょう。
Mark bandとGrade boundariesの仕組み
IBのRubricでは、各問題に対してMark bandという「得点範囲」が設けられています。
これはCriterionごとの評価レベルをつけやすくする仕組みで、あるCriterionの高得点範囲に入る内容を書けば、上位のMark bandに入りやすくなります。
またその得点を足した総得点で「Grade boundaries」が決まり、これにより最終的な成績(1〜7)が決定する仕組みです。
公式のGrade Boundariesは生徒に公開されていないので、先生やコーディネーターに相談しましょう。
①Mark bandを理解し、戦略的に得点を積み上げる
②Grade boundariesの動向を見ながら、狙うレベルを把握する
このような手順で、目標の成績が見えるようになります。
評価で使われる共通指示語(Command terms)の理解
IBでは「共通指示語(Command terms)」を正しく理解し、それに沿って回答することが重要です。
Define(定義せよ):明確に説明する
Analyze(分析せよ):要素を分解し構造や関係性を明らかにする
Compare(比較せよ):複数の事象の共通点と相違点を述べる
Evaluate(評価せよ):強み・弱み、良い・悪いなどを判断する
具体的な言葉の意味を知り、指示に沿った回答ができれば、Rubric通りの得点を狙えます。
IB Rubricを理解して手に入る3つのメリット
IBのRubricを正しく理解すれば、学習方法や課題への取り組み方が大きく変わります。
Rubricを理解することで手に入る、3つのメリットを解説しましょう。
高得点の答案の「型」が見える
Rubricを正しく理解すれば、高得点が取れる答案の「型」(共通パターン)が身につきます。
そのためには、RubricのCriterion(評価基準)に沿って構成できているかがポイントです。
たとえばExtended Essay(EE)では、Criterion C(構成・焦点)に書かれてある「導入→本論→結論」の流れが整っていると、内容が伝わりやすい構成になります。
またCriterion D(言語)では、分かりやすくて正確な語彙の使用・文体の適切さが得点アップのポイントです。
このようにRubricを基準に「構成」「分析」「言語表現」などの型をマスターすれば、高得点につながる答案が作れます。
採点者の視点を知って準備できる
Rubricを理解できれば「採点者が何を見ているのか」が分かるようになるのもメリットです。
IBの評価担当者はRubricを基準にして採点しているので、誰が採点しても似た結果が出るようになっています。
Rubric内の「どのようなことが高く評価されるか」が書かれた「Grade descriptors」を理解すれば、採点者が重視している要素が見えてきますよ。
■Grade descriptor
Grade 7(最高評価)の評価ポイント
「高度な内容理解と概念的気づきを示し、批判的かつ反省的思考が明確に見られる。構造が論理的で明快、説得力があり、用語の選び方も精度が高い」
→学術的な表現と解釈をできているかを見る。
Grade 4(中堅~十分な水準)の評価ポイント
「主要な知識と技能について一般的な理解を示し、多少の誤解や抜けはあるが、基本的な構成と一貫性のある表現ができている」
→ある程度の知識と、分析力・構成力を見る。
このようにRubricは、採点者が重視するポイントを把握するために使えます。
時間管理や苦手克服ができるようになる
時間管理や苦手分野が改善できることも、Rubricを理解するメリットです。
IBの自学習では、次のアイテムを利用することが推奨されています。
- time management logs(時間管理記録)
- Todoリスト
- Rubricを使った自己評価
これらで進捗を細かく記録し、「時間管理」「苦手分野」などの弱点を明確にして克服することが可能です。
例えばMYPでは「時間と課題管理を効果的に行っているか」がRubricで評価されます。
その確認のために、上のようなアイテムを使うのです。
・計画を立てて課題に取り組めていないな…
・反省や改善の時間を作れていない…
このように振り返れば、そこに集中して対策できます。
Rubricに沿って行動を見つめ直すことが、正しい時間配分と苦手克服への近道です。
課題別のIB Rubric具体例
IB Rubricには共通のCriterionがありますが、課題ごとに見られるポイントや配点バランスが異なります。
ここではIA・EE・TOKの3課題を中心に、具体的なRubricを整理しましょう。
Internal Assessment(IA)の科目別Rubric
Internal Assessment(IA)は科目ごとに評価基準が異なるので、Rubricを科目別に理解することが重要です。
例①:数学(Math IA)の5要素
- Presentation(構成・見せ方)/4点
- Mathematical Communication(数学的表現と記述)/4点
- Personal Engagement(関心の深さ)/3点
- Reflection(振り返りの深さ)/3点
- Use of Mathematics(数学的応用力)/6点
例②:化学・生物(Chemistry & Biology IA)の4要素
- Research Design(調査設計)/6点
- Analysis and Evaluation(分析と評価)/6点
- Conclusion(結論の妥当性)/6点
- Evaluation(調査の評価)/6点
このように科目ごとのRubricを把握し、配点の高い項目を満たせるよう注力しましょう。
Extended Essay(EE)の評価基準
Extended Essay(EE)はCriterionA~Eの5つの軸に沿って評価されます。
A:Focus and Method(焦点と方法)(6点)
- 明確なテーマ・RQ・調査方法を設定し、それに沿って本文が展開されているか
B:Knowledge and Understanding(知識と理解)(6点)
- 課題に関して深く理解しており、適切な専門用語が使えているか
C:Critical Thinking(批判的思考)(12点)
- 収集した情報を使い、論理的で一貫した議論を構築できているか
D:Presentation(構成・体裁)(4点)
- アカデミックな構成・引用・レイアウトができているか
E:Engagement(関与・反省)(6点)
- 研究に主体的に関われているか
- リフレクション(反省・振り返り)をできているか
特に「Critical Thinking」が高配点。論文の冒頭で明確な研究課題を設定していたり、自分の主張と反対の視点を検討していたりすると効果的ですよ。
この5項目を理解し、EEで高得点を狙う指針として活かしましょう。
EEについて詳しく知りたい方は、こちらの記事を読んでください。
TOK Essay・Exhibitionの評価基準
TOKでは 1,600語のエッセイ と 展示(Exhibition) の2つの課題があり、それぞれ異なる評価基準が設けられています。
エッセイでは、明確かつ批判的に論じる能力が評価の対象です。
- テーマからブレずに論じているか
- 自分の意見の根拠に、具体例を使えているか
- 複数視点から評価できているか
これら一貫性と深い考察が、高評価につながります。
一方展示(Exhibition)では、あらかじめ決められている「設問(プロンプト)」を選び、それに答える形で3つの身近なモノ・資料を紹介します。
展示では以下4点が評価されます。
- 選択した理由の明確な説明(Justifying ideas)
- モノ・資料と設問のつながり(Interlinking ideas)
- 実例に基づく証拠の提示(Using evidence)
- モノ・資料が実社会のどんな場面で意味を持つのか(Identifying the real‑world context)
エッセイと展示のどちらを準備する際にも、採点者の期待に応える答案を意識して構成しましょう。
TOKの詳しい準備方法はこちらの記事で詳しく説明しています。
IB Rubricを高得点につなげる3ステップ
ただRubricを読むだけではなく、自分の答案や学習計画に落とし込み、点数につなげることが大切です。
ここでは、Rubricを高得点につなげるための行動ステップを整理します。
模範解答の分析から「採点者が見るポイント」を知る
Rubricを活用して模範解答を分析すると、「採点者が何を重視しているか」が見えてきます。
高得点の答案は「Rubricに沿った構成や表現」になっているので、その方法をマネすることが効果的です。
RevisionDojoでは「どんな記述方法が高得点になっているか」を実際に確認できますよ。
分析によって採点者が「論理の一貫性」「明確な焦点」「正確な言語の使用」をどれだけ重視しているかを理解でき、自身の答案にRubricを反映させられるようになります。
Rubricを使って自己評価する
自分の答案をRubricに照らして自己評価すると、自分の強みと改善点が明らかになります。
Rubricは評価基準としてだけでなく、自己評価の指標として活用し、学習の成果をアップさせることも可能です。
例えば英語のIAで、自分の文章をRubricのCriterion C(構成・焦点)に照らして「論理の流れがイマイチ」と評価できたとします。
その場合、以下のような改善ステップが見えてくるでしょう。
- 導入と結論のつながりを分かりやすくする
- 「しかし」「したがって」など接続詞でつながりを明確にする
- PREP法を使って意見が伝わりやすくする
- 段落構成を整える
このようにRubricを自己評価ツールとして使えば、自分の現状と今後何をするべきかが分かります。
タスク管理と時間配分をRubric基準で調整する
学習計画や時間配分を考えることにも、Rubricの活用が可能です。
課題によって、Rubricで重視される点が異なります。
- EEやIA → 「分析」や「データの活用」が重視される
- TOK → 「論理的な構成」「現実との結びつき」が高く評価される
つまりRubricを見れば「各課題のどこに一番時間をかけるべきか」がはっきり分かるということですね。
また試験の時間配分に関しても、Rubricと出題形式を理解すればどう配分するべきかが明らかになります。
こうして各Criterionに対する学習計画をRubricで定めて準備すれば、高得点を目指すことも可能です。
IB Rubricを学習戦略に生かす方法
教科以外の活動に関しても、Rubricを活用できる場面はいくつもあります。
Rubricを採点基準としてだけでなく、学習全体の戦略へどう結びつけるのかを解説します。
グループワークやプレゼン課題への活用
グループワークやプレゼンの質を上げるのにも、Rubricの活用が効果的です。
これらのRubricには「協力態度」「構成・流れ」「発表態度」などの評価項目があります。
- 全員が内容をしっかり理解しているか
- アイデアを論理的に整理できているか
- アイコンタクトや声の大きさなどを意識できているか
こういった評価ポイントを把握できれば、役割分担や練習方法が明確になります。
グループワークやプレゼンの準備や協働にも、Rubricを意識して取り込みましょう。
教師・保護者とのRubricに関する情報共有をする
Rubricはお子様本人だけでなく、先生・保護者とも共有して、今後の方針を一緒に考えるのに役立てましょう。
Rubricを一緒に確認することで、「何をすればいいか」ということを保護者が理解しやすくなります。
- Rubricの意味や配点を明確にする
- Rubricの得点が最終成績にどのように反映されるか伝える
このような点を知っておけば、保護者もサポートをしやすいです。
模範答案やRubric表を使って、具体的に説明しましょう。ご本人の努力を見守れる環境ができあがります。
IBでよくある失敗例とRubric活用による回避法
一生懸命取り組んだのに、思ったより点数が伸びない…
こういう場合の多くは、Rubricに沿った答案作成ができていないことが多いです。
ここではIB生が陥りやすい失敗例を確認し、Rubricを使ってどう防げるかを解説します。
Criterionごとの点数を落としやすい失敗例
Criterionごとに得点が細かくチェックされており、それぞれに「落とし穴」が存在します。
各Criterionの失敗例を紹介しましょう。
Criterion A(理解・解釈)
何となく内容を引用するだけで深い理解を示せず、評価が下がることがあります。
例えば英語の課題で「物語の筋をなぞるだけ」にとどまり、理解が足りない答案は評価が低いです。
Criterion B(分析・評価)
表面的な記述で、「なぜ・どのように」を説明せず分析が浅い場合、評価が下がります。
具体例を使って、本質を分析しないと高評価にはなりません。
Criterion C(構成・焦点)
論理的でなく、焦点が定まっていないため一貫性がない答案は、高得点は難しくなります。
情報どうしにつながりがなく、段落ごとに主張が曖昧な構成は特に低評価です。
Criterion D(言語表現)
用語や単位を間違って使ったり、文章の構造が分かりにくい場合に減点されます。
例えば化学では、単位・記号の書き間違いや誤用、説明不足が多い原因です。
こうした典型パターンをRubricで確認し、点数の取りこぼしを防ぎましょう。
英語・日本語間の「訳語ギャップ」に注意
英語の日本語訳は一つではないため、Rubricの訳語がズレてしまう場合があります。
このズレがあると採点ポイントを見落とし、評価が下がる原因になってしまうことも。
例えばCommand termsの一つである「Evaluate(評価せよ)」は、強みや弱み、良い・悪いを判断しなさいという指示語です。
ですが「evaluate」という単語の日本語には「批判的に検討する」「判断する」など別の意味もあるため、Command termsの「Evaluate」の意味を理解していないと、何をするべきかが曖昧になることがあります。
英語・日本語どちらでも同じ意味で理解できるまでRubricを読み込んだり、先生に確認したりしてズレを解消しましょう。
努力と得点が結びつかないときのチェックリスト
努力しているのに得点が伸びない…
このように感じたら、Rubricを用いた次のチェックリストで自己評価し、改善を図ましょう。
Rubricのすべての評価ポイントが答案に入っているか
各Criterionを確認し、「分析」や「構成」などを満たしているかチェックします。
自己評価をしたうえで改善アクションを立てられているか
Rubricで自分の答案を採点して弱点を見つけ、「どこをどう改善するか」のアクションプランを立てて実行しましょう。
時間配分や学習戦略がRubricに沿って考えられているか
「重点項目に時間を割けているか」「重要なCriterionに準備時間を割けているか」を振り返ります。
このチェックで「改善できる部分」が見えてくるので、学習をもっと効果的に進められます。
IB Rubricを理解すれば高得点への戦略が作れる
「IBにおけるRubricの理解と活用法」を解説しました。
- 高得点を狙うには、Criterionごとの観点(知識・分析・構成・言語)を意識することが大切
- mark bandやGrade boundariesを踏まえ、自分の力をどう配分するかを明確にする
- Command termsの正しい理解が、採点者の意図に沿った答案作成につながる
- IA・EE・TOKなど課題でもRubricを使い分け、戦略的に準備しよう
- 自己評価や時間管理もRubricに基づいて行うのが効果的
・Rubricを読んでも、実際にどう学習に落とし込めばいいのかわからない…
・EEやTOKの準備を一人で進めるのは不安…
・志望大学に届く点数を取るために、具体的な指導がほしい…
そんな方には、国際バカロレアアカデミーの個別指導・進路指導がおすすめです。専門的な指導であなたの学習を徹底サポートします。