IB Social and Cultural Anthropology勉強法|初心者でも理解できる全体像

・Social and Cultural Anthropologyって何から勉強すればいい?
・Paper 1や2でどうすれば点が取れるんだろう?
・IAの準備をどう進めればいいのか知りたい!

試験や課題が多いIBにおいて、この科目の勉強は不安になりやすいですよね。

この記事ではシラバスの理解・試験対策・学びの活かし方までを解説します。

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IB Social and Cultural Anthropologyの全体像

シラバスや評価方法を把握しないままSocial and Cultural Anthropologyの学習を始めると、勉強の優先順位を間違いやすくなります。

まずは全体像を把握し、学習効率を上げる方法を紹介していきます。

シラバスの仕組み

Social and Cultural Anthropologyは人類学を通じて、いろんな文化や社会を理解する科目です。

シラバスは以下の学習で構成されています。

Social and Cultural Anthropologyシラバスの大枠

Part 1

人類学の基本的な用語・エスノグラフィー(民族誌)・研究方法を学びます。

Part 2

文化や社会組織に関して、以下のテーマを学びます。

  • 親族・社会関係・政治構造などの社会構造の理解
  • 信仰・道徳などの文化
  • 経済・社会の変化

さらにHL(Higher Level:高等レベル)かSL(Standard Level:通常レベル)を選ぶかでも、取り組みが変わります。

このような内容を通じて、文化や社会現象を比較・分析する力を育てていきます。

SLとHLの違いと選び方のポイント

SLとHLの違いは、学ぶ深さと課題内容です。

SLとHLの違い

SL(Standard Level:通常レベル)

人類学の基本的な考え方、社会組織に関するテーマを学びます。

社会的な環境(部活や地域のイベントなど)に実際に参加し、人々の行動・会話・表情などを観察する「観察と批判演習」があるのも特徴です。

HL(Higher Level:高等レベル)

SLの内容に加えて、民族誌(エスノグラフィー)の学習・現地調査(フィールドワーク)があります。

HLのみPaper3という試験もあり、理論を応用した問題を解かなくてはいけません。

SLとHLどちらを選ぶかですが、自分の学習ペースや進路に照らして、どちらがムリなく続けられるかを重視してください。

SLは取り組みやすく、HLはチャレンジ性が高いですが学びの量も多くなります。

9つのキーコンセプト・6つの問いの枠組み

Social and Cultural Anthropologyでは「9つのキーコンセプト(考え方)」と「6つの問いの枠組み」を使って学習を進めます。

キーコンセプトは「社会や文化を理解するための考え方」で、以下のようなものです。

9つのキーコンセプト

  • Belief and knowledge(信念と知識)
  • Change(変化)
  • Culture(文化)
  • Identity(アイデンティティ)
  • Materiality(物質性)
  • Power(権力)
  • Social relations(社会的関係)
  • Society(社会)
  • Symbolism(象徴)

そして「これらの考え方を使って、どんなことを考えるのか?」を示す「6つの問いの枠組み」があります。

6つの枠組み

  • What is culture?(文化とは何か?)
  • What does it mean to be a person?(人間であるとはどういうことか?)
  • What does it mean to live in society?(社会で生きるというのはどういうことか?)
  • How are we the same and different from each other?(私たちはどこが似ていてどこが違うのか?)
  • Why does anthropology matter?(なぜ人類学が重要なのか?)
  • To what extent is knowing others possible?(他者をどこまで理解できるのか?)

たとえば以下のような問いがあれば、次のように考えられます。

「この人物はなぜこんな行動を取ったのか?」

  • 「Power(権力)」という考え方を取り入れると、「親や先生の期待・圧力がこの行動に影響しているのではないか」と考えられる
  • 「Identity(アイデンティティ)」という考え方なら、「育ってきた環境や仲間意識が行動の理由かもしれない」と考えられる

このように、キーコンセプトのいずれかを使って問いを深く考えていくのが、この科目の特徴です。

Social and Cultural Anthropologyで役立つ「民族誌」と「理論」

Social and Cultural Anthropologyの学習で欠かせないのが、実際の研究事例である「民族誌」と、それを解釈するための「理論」です。

この2つを結びつけて理解することで、答案の説得力がアップし、試験で得点に直結します。

代表的な民族誌と活用法

ある社会を研究者が観察した記録である「民族誌(エスノグラフィー)」を、学びの材料として使います。

ただできごとが書いてあるだけではなく、「どんな文化で、どんな意味があるのか」を知るヒントになる情報源です。

代表的な民族誌

  • Coming of Age in Samoa: A Psychological Study of Primitive Youth for Western Civilization (邦題「サモアの青年期、Margaret Mead 著)
  • Deep Play: Notes on the Balinese Cockfight(邦題:「深い遊び:バリの闘鶏についての考察、Clifford Geertz 著)

これら民族誌を次のように活用すれば、試験で得点につながります。

  • 民族誌の内容を、自分の主張の具体例として挙げ説得力を持たせる
  • 事例から見えてくる問いと、キーコンセプトを結びつける
  • 似た民族誌も例に出し、「こんな文化も存在する」と比較・分析する

民族誌を学習に組み込めば答案の説得力が高まるので、得点アップには不可欠です。

Social and Cultural Anthropologyで使える理論と応用

民族誌を正しく読み解くためには「理論」が大切になります。

理論が「観察したできごとの背景」を整理し、説得力のある答案にしてくれるからです。

主要な理論と使い方例

EmicとEticの視点

あるできごとを「中にいる人の立場(emic)」と「外から見る立場(etic)」で比べる方法です。

民族の儀式を例にすると、参加者からは「伝統を守る行為」と考えられますが、外部の研究者は「結束を強めるためのしくみ」と考えられる、という具合です。

文化遺伝理論(Dual Inheritance Theory)

文化が人から人へ伝わることです。

人気のスポーツ選手のマネが一気に広まるのは、「成功した人の行動がマネされやすいしくみがあるから」と理解できます。

■拡散主義(Diffusionism)

ある社会から別の社会へと、技術・言葉・習慣などが広がっていくという理論です。

たとえば日本のアニメやファッションが海外で人気になるように、文化が国境を越えて伝わることを言います。

このように理論を具体例と結びつけると、説得力のある回答になります。

IB Social and Cultural Anthropologyで7を狙う試験対策

Paper 1・Paper 2・内部評価(IA)では、それぞれ異なる力が求められます。

ここでは各試験の準備・解答の型を整理し、実際に点につながる戦略を紹介しましょう。

Paper 1攻略|資料分析の型をマスターする

Paper 1で高得点を狙うには、「資料の内容を分析する型」をマスターすることが大切です。

Paper 1では、社会環境に関する初見の資料が渡され、資料に関する3つの大問を解きます。

出題された問いと資料に対して、以下の流れで構成しましょう。

①使用するキーコンセプトの意味を最初に分かりやすく示す
例:「権力(Power)とは、ある個人や集団が他者に影響を与える力のことです。」
②資料内容を分析する
資料内での「他者に対して権力(Power)が影響を与えている状況」を引用します。
そして「なぜそれが権力(Power)と言えるのか」を説明しましょう。
③比較・他資料とのつながりを述べる
民族誌や知っている事例と比べ、「共通点」「違い」を探すことで説得力がアップします。

このような型を身につければ、Paper 1での得点につながり、構造も明快になります。

Paper 2攻略|論述の構造と高得点答案の作り方

Paper 2では、授業で扱ったテーマ(環境、グローバリゼーションなど)に関する設問が出題され、その中から1問を選んでエッセイ形式で答えます。

簡略化していますが、下記のような設問が出たとしましょう。

「Belief and knowledge(信念と知識)」というキーコンセプトを定義し、民族誌の事例と現代社会の具体例を用いて、その影響を論じなさい。

この設問に対して、以下のステップに沿って構成するのが効果的です。

①キーコンセプトの定義・テーマ提示
例:「Belief and knowledge」とは「ある社会の人々に影響を与えている考え・価値観・文化」のことです。
②事例提示と分析
民族誌の具体的なシーン(儀式・習慣など)を挙げて、その信念が民族の行動にどう現れているのかを説明します。
また現代社会における文化や価値観が、私たちにどう影響しているかも書きましょう。
③まとめと比較評価 
自分の理解をもう一度整理し、本文とのつながりを簡単にまとめます。
自分とは別の視点もあることに触れておくとより良いです。

このように導入・分析・まとめを意識して書くことで、Paper 2でも高得点を狙えます。

内部評価(IA)|準備と成功のコツ

IAでよい点を取るには、「明確な研究質問」「計画的な調査」「整理された提出」の流れがポイントです。

① 明確な研究質問を作る
まず何を調べたいのかをはっきりさせます。
例えば「伝統的な礼節がなぜ日常に残っているのか?」といった社会文化とつながるテーマを示しましょう。
②フィールドワークを計画的に進める
短い観察やインタビューを使って調査を行います。
どこで・いつ・誰を観察するかを事前に決めておき、できるだけ正確に記録しましょう。
「観察したこと」「考えたこと」に分けて書くと読みやすくなります。
③「導入→調査→考察→まとめ」の順でレポート作成
以下の流れのレポートを作れば評価されます。
導入:研究テーマと意図(なぜ調べたか)を書く
調査方法と結果:何をどう調べたかと、観察したことや発見を簡潔に示す
分析・考察:キーコンセプトになぞらえて考えたことを説明
まとめ:自分の結論と気づきを整理

このように事前準備+構成の流れを意識してIAを書き、評価につなげましょう。

IB Social and Cultural Anthropologyの学びの活かし方

Social and Cultural Anthropologyの履修は、大学での学問選択・将来のキャリアに大きく役立ちます。

人類学を専門に学びたい人だけでなく、国際的な分野で活躍を目指す人にとって、どのように役立つのかを紹介します。

大学での人類学専攻・研究に活かせる

Social and Cultural Anthropologyは下記のような考えを理解する科目です。

「なぜ人はその文化に合わせて行動するのか」

「違う文化にどう対応するのか」

大学進学後に人類学を専攻するときに、この視点がとても役立ちます。

IBの公式サイトでは「現代社会の戦争・貧困・文化の継続と変化などについて、批判的に考える視点が身につく」とされています。

これは社会に出てからも、多文化なチーム環境で働く際に強みになるでしょう。

グローバル社会で役立つ思考方法

Social and Cultural Anthropologyの学びは、グローバル社会での「考える力」を育ててくれます。

文化相対主義

「自分の文化が絶対ではない」と理解し、他の文化も尊重する考え方です。

例えば日本では「相手を立てること」が良いとされるのに対し、アメリカなどでは「自分の意見を率直に伝えること」の方が大事と言われます。

このような違いを尊重するという考え方です。

いろんな視点で考える力

世界の問題を自国・自分の立場だけでなく、いろんな立場から考える力です。

たとえば環境や人権侵害などの問題を、いろんな国の課題を踏まえて考えられるようになります。

このような力は、将来グローバルな機関や海外企業で働くときに大きな武器になります。

高得点を目指す方法と学びの活かし方

Social and Cultural Anthropologyの勉強法と、その学びがどのように活きるかを解説しました。

  • シラバスやキーコンセプトを理解すれば、ブレずに勉強を進められます。
  • 理論を使って読み解く力を鍛えましょう。
  • Paper 1・2やIAの型で押さえることで、得点力アップが可能です。
  • 授業内容は大学進学後も、国際理解や社会での活躍に直結する力を育ててくれます。

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