「IB learner profileって、詳しくはどういうこと?」
「10の資質って聞いたことあるけど、何なの?」
「家庭でのサポート方法を知りたい!」
こんな悩みをお持ちではありませんか?
IB learner profileを初めて知る方にとって、いったい何のことなのか分かりにくいですよね。
この記事を読めば、IB learner profileの意味から、学校・家庭での育て方までまるっと理解できます!
本記事は、世界トップレベルのIB卒業生が個別指導を行う「
一人ひとりに合った学習計画・完全オンラインでのサポート体制などで得た豊富な知見を活かし、初心者にもわかりやすくまとめました!
Contents
IB learner profileとは?
IB learner profileとは、国際バカロレア(IB)プログラムでの「学習者としての理想像」のことです。学力だけではなく、
- 倫理観
- 国際感覚
- 協働性
といった、「IBを学ぶ人はこういう人間であってほしい」というのを表したものですね。この理想像の実現を目指し、IB教育の授業や活動は行われています。
learner profileは「IBの行動指針」
IB learner profileは、IB教育には無くてはならないものです。IBのプログラムには、
①PYP(初等教育)
②MYP(中等教育)
③DP(大学進学準備)
④CP(職業志向)
の4つがありますが、どれもこのlearner profileが基本理念となっています。
- カリキュラム
- 授業内容
- 評価基準
- 学校内での生活
など、学校内のすべてでこの学習者像の実現が目指されているんですね。
IB learner profileはただの理念ではなく、学校で日々実践される行動指針だと考えて下さい。
IB learner profileが定める「10の資質」
IB learner profileには、「IBを学ぶ人はこうあるべきだ」という10の資質があります。
例えば、そのうちの1つである「Inquirer(自問自答して調べられる人)」という資質を持っている人は「いろんな問題に対して『なぜこうなってるんだろう?』と自問自答し、解決するために調べられる人」ということです。
「Caring(思いやりのある人)」という資質があると「他の人の意見や存在を尊重できる人」になれるというぐあいですね。
このような資質を身につけることで、
「学び続ける人」
「多様性を受け入れる人」
「責任を持って社会に貢献する人」
といった、IBが求める「グローバル社会で活躍する人物像」を実現できるようになります。
全10項目の日本語+英語一覧各項目の意味と具体例
No. | 英語表記 | 日本語訳 | どういう資質? |
1 | Inquirer | 探究する人 | 自問自答して調べられる |
2 | Knowledgeable | 知識のある人 | 知識を活かして問題解決できる |
3 | Thinker | 考える人 | 論理的に考え判断できる |
4 | Communicator | コミュニケーションができる人 | 他の人と友好な関係が築ける |
5 | Principled | 信念をもつ人 | 自分の信じた行動が取れる |
6 | Open-minded | 心を開く人 | いろんな価値観を受け入れ、理解しようとする |
7 | Caring | 思いやりのある人 | 他の人に配慮と尊重ができる |
8 | Risk-taker | 挑戦する人 | 失敗を恐れず新しいことに挑める |
9 | Balanced | バランスの取れた人 | 心身の健康や人間関係が良好 |
10 | Reflective | 振り返りができる人 | 自己を振り返り、成長できる |
各項目の意味と具体例
IB learner profileの10の資質は、一つひとつ異なった「学びの姿勢」や「社会性」を表しています。たとえば、
Inquirer(自問自答して調べられる人)
自分で考えた「なぜ?」をさらに深く考え、情報を集めて解決しようとする姿勢を表しています。IBでは「生徒がみずから考え、みずから調べ、学びを広げる授業」が多いからですね。
Caring(思いやりのある人)
他の人の立場や感情を理解し、協力できる人を表しています。実際のIBでは、クラスメートの意見を尊重したり、地域活動に参加したりすることで育てられている資質です。
Risk-taker(失敗を恐れず挑戦できる人)
不確かで難しい状況にも、前向きに取り組む姿勢を表しています。失敗を恐れず、新しい勉強や発表に挑戦する場面が、IB教育では頻繁にあるんですね。
このようにIB learner profileは、パッと見は抽象的ですが、学習場面の中でしっかり育まれる「実践的な力」なのです。
似ている項目どうしの違いや共通点
IB learner profileの10資質のなかには、意味が似ているものがあります。たとえば、
・Inquirer(自問自答して調べられる人)
・Thinker(論理的に考えて判断できる人)
はどちらも「考え方」に関わる資質なので似ていますが、どう違うのでしょうか?
Inquirerは「みずから疑問をもって学ぶ力」、つまり好奇心や探究心のことです。一方でThinkerは「情報や状況を分析し、判断する力」を意味します。つまり前者は学びのスタート地点の考え方で、後者はそのあとに思考を深めていく姿勢ですね。
また、
Open-minded(多様性の受け入れて理解できる人)
Caring(思いやりのある人)
も「人への接し方」なので、共通点はあります。ですが、前者は「多様性を受け入れて理解すること」、後者は「相手の気持ちに寄り添うこと」という違いがあるんですね。
このように、IB learner profileの10の資質は一つひとつ意味が違っており、いろんな資質を育てて人間としての厚みを作っていくように設計されています。
IB校でのlearner profile実践例
日々の授業や学校生活の中で、IB learner profileは実践されています。ここでは、日本と海外それぞれのIB校での事例を紹介します!
日本国内のIB活動例
日本のIB校では、IB learner profileを授業や学校生活に組み込み、少しずつ理解していく学校が多いです。
たとえば宮城県の仙台育英高校では、1年生の段階では「IB learner profileとは何か?」という話し合いをします。そして2年生から、徐々に本格的な取り組みをしていくんですね。
具体的には、
・各資質について考える時間があり、生徒どうしで意見を出し合う
・それぞれの資質に関するポスターを作成し、教室内に貼る
といった取り組みをすることで、日頃からIB learner profileを意識して過ごせるようになります。
さらにCASと呼ばれる課外活動の中でも、
「こういうとき、どういう言い方をしたら他の人に伝わりやすいかな?」
「相手の立場だったら、あなたの行動をどう感じると思う?」
というような声かけをします。これは「Communicator(コミュニケーションができる人)」やCaring(思いやりのある人)資質について考えるチャンスなんですね。
ただ机の上だけでなく、実際の学校生活の中でIB learner profileについて考えるのが、日本のIB校の特徴です。
海外のIB活動例
海外では、より自由で、生徒みずからIB learner profileを学ばせるようにしている学校が多いです。
たとえばカナダやオーストラリアでは、地域課題や環境問題について、生徒が自分たちで調査・発信する機会をたくさん作ります。
こうした活動の中で、異なる生活や価値観の人と協働していきます。他の人の意見や立場を考えることが、Open-minded(多様性の受け入れて理解できる人)やCaring(思いやりのある人)の資質が育つわけですね。
また、教室では「先生が教える」よりも「生徒が調べる」ことがメインで、意見や失敗を尊重する空気があります。ですので日本よりも発言や行動がしやすく、IB learner profileを実現しやすい環境といえますね。
IB learner profileの評価方法
IB learner profileは「学力だけではなく、子どもが社会的に成長できる仕組み」として高く評価されています。特に「思考力」や「主体性」「他の人との協働力」といった、数字では表しにくい力が見える点が大きな特徴ですね。
評価方法としては、
- 定期的なリフレクション(振り返り)
- 先生による観察評価
- 生徒どうしのピアレビュー(相互評価)
が組み合わされたものです。
これにより、知識があるかどうかだけではなく、「どのような姿勢で学び、他者と協力しているか」という学力以外の面も評価できます。
また学期末の成績表では、生徒の学校生活が10の資質をもとに評価されています。これによって保護者と連携し、教育方針を共有できるわけですね。
IB learner profileは、成績よりも大切な「人としての成長」を重視する教育を、評価でも実現しているのです。
学校だけじゃない!家庭で実践するIB learner profileの育て方
IB learner profileは、学校だけで育てるものではありません。実は保護者の関わり方によっても、その定着に大きな差が生まれます。
ここでは「ご家庭でできるIB learner profileの育て方」を紹介しますね!
子どもの考える力を育てる「声かけ」
IB learner profileを育てるうえで、保護者の言葉がけはとても大切です。何気ない一言が、「自分で考える」「相手の気持ちを考える」きっかけになるからなんですね。
たとえば、Thinker(論理的に考えて判断できる人)の資質を育てたいなら、
「それについてどう思う?」
「なぜそう考えたの?」
と声かけをすることで、子どもが自分で考えを深めるきっかけになります。
Open-minded(多様性の受け入れて理解できる人)の資質には、
「違う意見の人もいるかもしれないね」
「ほかの考え方もあるかな?」
といった声かけをすると、多様性を意識するきっかけになっていいですね。
こうした声かけは、子どもの思考力だけでなく、倫理観・共感力にもつながります。日常会話にも意識して取り入れていきましょう。
IB learner profileの効果をさらに引き出す「リフレクション」
ご家庭では、子どもと一緒に「振り返り(リフレクション)」をすることを習慣にしてください。IB learner profileを最大限に活かすベストな方法です!
リフレクションとは、学びや行動を振り返って、自分自身について理解を深める方法です。
IB校ではリフレクションが学習の一部となっていて、授業終わりや課題の提出後に、生徒自身が振り返りをします。
ご家庭でも、
「今日はどんなことにチャレンジした?」
「うまくいかなかったことはどうすればよかったと思う?」
という話をすることで、同じ習慣を育てられますよね。
また、保護者自身の失敗や学びもぜひ教えてあげてください。そうすることで、
「大人も振り返って成長するんだ!」
と考えられるようになります。それが自信になり、IB learner profileの定着になりますよ!
ご家庭でのリフレクションは、日常会話の中で取り入れられるシンプルな方法です。ムリなく続け、成長へと繋げていきましょう。
IB learner profileによくある誤解
IB learner profileはすばらしい指針なのですが、分かりにくかったり誤解されやすかったりする部分があります。IB learner profileのよくある誤解について解説しますね。
「すべてを完璧にマスターしないといけない?」
IB learner profileの10の資質は、「すべてを完璧にマスターしないといけない」というものではありません!なぜなら生徒によって、向いている資質が違うからですね。
たとえば、ある生徒は「Risk-taker(失敗を恐れず挑戦する人)」としての姿勢が自然と身についていますが、「Reflective(振り返りができる人)」としては苦手かもしれません。
そこで「苦手だから」と落ち込むのではなく、「じゃあ自分はどういう人間なのか?」を理解し、どうやって成長していけるかを考えることが大切なんですね。
つまり、IB learner profileで大事なのは「完璧を目指すこと」ではなく、「自分の資質を見極め、少しずつ高めていくこと」なのです。
「IBは成績と関係ない?」
IB learner profileは人格形成が目的なので、
「成績や評価とは無関係なんでしょ?」
と考えられる保護者もいらっしゃいます。でも実際には、この資質が学習活動や成績にも深く関わっているのです!
たとえば、授業のなかで行われるレポートやエッセイの自己評価。これは「Reflective(振り返りができる人)」という資質が見られていて、「自分の考えを振り返り、次の行動にどうつなげられるか」という部分が評価されているわけですね。
また、グループワークや協働プロジェクトでの行動も、先生は記録しています。これは「Caring(思いやりのある人)」や「Principled(信念をもって行動できる人)」などの資質の評価につながるわけですね。
このように、IB learner profileは「評価されない理想像」ではなく、成績や評価にもつながる行動指針なのです。
「特別な子しか受けられない?」
IB learner profileについて解説してきましたが、
「これって特別な子だけのものであって、うちの子には関係ないんじゃない?」
と感じる保護者もいらっしゃるかもしれませんね。しかしIBが目指すのは、すべての子どもが自分なりに成長し、社会とより良く関われるようになることです。
たとえば、「Communicator(他の人とコミュニケーションができる人)」という資質も、声が大きくはっきり話せる子だけが当てはまるわけではありません。自分の気持ちを絵や文章で表現する子も、立派なCommunicatorです。
つまり、IB learner profileは選ばれた一部の子どものためのものではなく、すべての子どもがそれぞれのペースで身につけられる「人としての成長指針」なのです。
IB learner profileを理解し、家庭でも育てることが大事!
この記事では「IB learner profile(IB学習者像)」について詳しく解説しました!
最後にポイントをまとめますね。
IB learner profileとは?
- IB learner profileは、IB教育の「理想の学習者像」
- 10の資質を育てると、学力だけでなく社会性や思考力も伸ばせる
- 学校現場だけじゃなく、家庭での声かけやリフレクションも大事
- 成績評価にも関係し、子どもの成長をいろんな面で支える
- 特別な子どもだけでなく、すべての子が実践できる
当校【国際バカロレアアカデミー】は、IBに特化した塾です。
「IBってどんな力が身につくの?将来どう役立つのか気になる…」
「うちの子にIBは合っているのかな?ついていけるか心配…」
「家庭ではどんなサポートをすればいい?塾に通わせた方がいいの?」
と悩まれている方は、ぜひご検討ください!