IB DP Philosophyとは?勉強方法・進路活用まで徹底解説!

・IB DPのPhilosophyって何を学ぶの?
・SLとHLの違いは?
・IAや試験の対策を知りたい!

IB DPのPhilosophyに興味はあっても、情報が少なくて悩みますよね。難しい用語や内容に戸惑う方も多いはず。

この記事を読めば、Philosophyの全体像・勉強方法・進路へのつながりなどがしっかり理解できます!

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IB DPでPhilosophyを選ぶ3つのメリットとは?

IBのPhilosophyは「難しそう」「英語が大変そう」といったイメージを持たれがちですが、実際には初心者でも学べるよう設計されています。他の教科や将来につながる力を育てる意味でも、メリットがたくさんある科目です。

そんな「Philosophyを選ぶ3つのメリット」を知り、選択の判断にしていきましょう。

Philosophy初心者でも安心して始められる

Philosophyのカリキュラムは、初めて学ぶ生徒でもつまずきにくい設計になっています。日常の身近な問いを例にしながら、少しずつ考えを深めるようになっている構成だからです。

まず、「Being Human(人間とは何か?)」という身近な問いからスタート。そこから「自己」「自由」など身近なテーマをじっくり学び、哲学的な考え方を無理なくマスターしていきます。

たとえば「私とは何か?」という問いがあったとして、自分の経験・周囲との関係性を踏まえて考えていき、初歩的な哲学用語を着実に理解していける構成なんですね。

またIBは「考える力」を育てる教育方針なので、生徒どうしのディスカッションや自分の意見を発表する機会が多いです。暗記ではなく、自分自身の考えを深めていくスタイルなのも、初心者が安心して取り組めるポイントですね。

他教科・英語の学習に「哲学的な考え方」が役立つ

Philosophyで身についた思考法は、他の教科や英語学習にも直接役立ちます。

哲学的思考は「考える力」そのものを高めてくれるので、他教科や言語での表現力もアップさせられるからです。

たとえば、TOKという科目では次のテーマを勉強します。

知識とは何か?

人はどうやって正しいことを知るのか?

ニュースやSNSで見た情報について、「それって本当に信じていいの?」「他の考え方もあるのでは?」といったことを、自分なりの根拠を持って考える授業です。

このTOKと、Philosophyで鍛える「問いを立てて、理由を考えて、答えを深めていく」姿勢はつながっていますよね。

また英語授業のエッセイやプレゼンテーションでは、自分の意見を論理的に伝える力が必要になります。ここでも、Philosophyで練習する「意見 → 理由 → 反論 → まとめ」という構成の技術を活かすことが可能です。

「考え方」を育てるPhilosophyは、他の教科を学ぶ上でも大きな力になります。

SLとHLの選択で学習負担を調整できる

Philosophyを履修する予定なら、SL/HLの選択で学習量を調整できることを把握しておきましょう。

SLは少ない負担でPhilosophyの基礎を広く学べます。いっぽう、HLはPhilosophyをより深く考察したい人向きです。

たとえばSLでは、コアテーマと選択テーマそれぞれ1つずつを扱い、テキストも1冊で済むので負担が少ないです。

しかしHLは選択テーマが2つ、Paper 3という試験対策も必要なので、どうしても負担は大きくなります。

DP2年間の授業時間も、SLは約150時間、HLは240時間で大きく差がありますね。

「学習時間をおさえたい」「他の科目とバランスを取りたい」という人にはSLが向いています。「Philosophyをもっと深く学びたい」「将来に向けて論理的思考力を極めたい」という人にはHLがいいでしょう。

IB DPのPhilosophyではどんなことを学ぶのか?

Philosophyは「考える力を育てる科目」と解説しましたが、具体的にはどんな内容を学ぶのでしょうか?

どのようなテーマが出題され、どこまでの理解が必要か理解できれば、どう勉強すればいいかイメージがつかみやすくなるはずです。

コアテーマ「Being Human」とは?

IB Philosophyのコア(中心)テーマは「Being Human」。これは「人間とは何か?」を問う、Philosophyの出発点です。このテーマで、自分自身と他人・自由・意識などについて深く考えるための土台を固めます。

人はどこまで人間なのか?

意識や自我とは何か?

こういった問いから、「自我」「意識」「人格」「自由」など、人間らしさに関するキーワードを順に学んでいきます。抽象的な概念を、自分の生き方に結びつけながら理解する構成です。

授業では、ディスカッションやテキスト分析をしながらグループで話し合うことも。対話のなかで、概念を実生活に当てはめて考える力を身につけられます。

「Being Human」は自分の存在・価値観と向き合うテーマで、Philosophy全体の軸になる大切な出発点です。

選択テーマ(Optional Themes)の内容・選び方

「Being Human」に加え、自分の興味に合った選択テーマが選べます。SLでは1つ、HLでは2つのテーマを選ぶ設計です。

以下の7種類からテーマを選べます。

  • Aesthetics(美学):芸術や美の意味を考える
  • Epistemology(知識論):「知ること」の仕組み・限界を探る
  • Ethics(倫理学):善悪や正義の判断基準を考える
  • Philosophy of religion(宗教哲学):信仰や宗教経験の意味を考える
  • Philosophy of science(科学哲学):科学の方法やその限界を問う
  • Political philosophy(政治哲学):社会や権力の正当性を調べる
  • Social philosophy(社会哲学):社会構造や不平等について深掘り

選び方のコツは、「自分の関心」と「希望進路に活きるか」を考えること。興味のある分野なら続けやすいですし、進路に関係があれば進学先でも役に立ちます。

Prescribed Text(必読テキスト)と関連のあるテーマを選ぶのもオススメ。たとえば「知識論(Epistemology)」を選んだうえで、知識に関する理論のテキストを読むと、スムーズに理解できますね!

選択テーマは「関心がある学び」「SL・HLの負担の違い」「Prescribed Textとの関連」という3点から選ぶようにしましょう。

Prescribed Textの読み解き方

Philosophyでは、あらかじめ決められたPrescribed Text(必読テキスト)を一冊読み、その内容をもとに考察する学習があります。有名な哲学者の考え方に触れ、自分の意見を深めるためです。

とはいえ、全ページを完璧に覚える必要はありません。大切なのは、どんなテーマがあって、どんな主張がされているのかを理解することです。

授業では先生やクラスメイトと意見を交わしながら読み進めていくので、最初は難しく感じても大丈夫です!

読み進めるときのポイントは次の3つです。

  • 難しい言葉は自分なりに言い換える
  • 印象に残った部分をノートにメモしておく
  • 授業で出た意見をヒントに、別の見方も考えてみる

Prescribed Textは、哲学を知るだけでなく「考える・使う」ためのツールです。内容を自分の言葉で説明できるようになることを目指しましょう。

IB DP PhilosophyのIA・試験の評価ポイント

Philosophyの評価は大きく分けて、IA(内部評価)最終試験(外部評価)の2種類です。IAでは自分で選んだテーマに対する哲学的なエッセイを提出し、試験では課題文や問いに対して論理的に答えます。

それぞれの評価の仕組みや違い・どんな準備が必要か・どうすればスコアアップにつながるかを解説していきます。

IAの特徴とテーマ例

内部評価(IA)は、授業内で実施する2000語前後のエッセイです。全評価の20〜25%を占める、重要な課題になっています。

進め方ですが、まずスライド・映画の一場面・絵画・歌詞など非哲学的な資料(stimulus)を素材として、「自由とは何か?」「正しさってどう決まる?」などの、身近で哲学的な問いを立てます。

次に、哲学者の理論を使ってそれらを深く考えます。重要なのは、資料(stimulus)・自分の意見・理論をしっかりつなげて書くことです。

ある生徒は、オバマ元大統領の銃乱射事件後のスピーチをもとに「人はなぜ暴力に対して怒りを感じるのか?」と問いを立て、倫理理論と組み合わせて考察したことで高得点につながっています。

丸暗記ではなく、自分の目線で問いに向き合い、議論できるかが見られるエッセイということですね。

Paper1・2・3の違いと対策法

Paper試験も3種類に分かれているので、それぞれの特徴を理解して対策しましょう。

Paper 1・2がSL/HL共通の試験で、HLではさらにPaper 3があるというのがポイントです。

Paper 1

  • 試験時間:SLは1時間45分、HLは2時間30分
  • 全体配点:SL・HLともに40%
  • Core(Being Human)と選択テーマがあり、論述式になっています。
  • 過去問の演習と論拠の準備が大切です。

■Paper 2

  • 試験時間;SL・HLともに1時間
  • 全体配点:SLは25%、HLは20%
  • Prescribed Text(必読テキスト)に関する論述試験になっています。
  • テキストの理解と、そこからの引用の練習が重要です。

■Paper 3(HLのみ)

  • 試験時間:1時間15分
  • 全体配点:20%
  • 哲学に関する初見の文を読み、現代の問題と結びつけて分析する形式です。
  • 現代問題の分析と理論をつなげる練習をしましょう。

このように特徴がそれぞれ大きく違います。事前の準備がカギですので、しっかり取り組みましょう!

成績アップのカギは「論理構成」と「多角的な視点」

Philosophyの答案は、「論理的で理解しやすい構成」「複数の視点からの考察」が両立していなければなりません。

構成は下の順で書くことが大切です。

  1. 明確な主張
  2. 根拠
  3. 反論とそれに対する対応
  4. まとめ

この構成での練習を繰り返しましょう。

とくに「反対意見」の視点も取り入れることは大切です。反対意見があることで、自分の主張だけでなく、他の視点も理解していることをアピールできます。

成績アップには、この「論理的な構成」と「多角的な視点」が必要です。普段から心がけて練習しましょう。

IB DPでPhilosophyを学んだ先にある進路と可能性

IB DPのPhilosophyで育つ「自ら考え、対話し、解決する力」は、大学進学・将来の仕事・人生そのもので応用できます。

ここでは、進路選択などで活きるPhilosophyのスキルについて整理しましょう。

Philosophyで身につく力は「どこでも通用する武器」になる

Philosophyで身につく力は、いろんな場面で武器になります。

モントクレア州大学やケンブリッジ大学では、Philosophyを学べば、社会のいろんな場面で役立つ力が身につくと報告しています。

論理的推論:ディベートで、自分の意見を筋道立てて主張できる

抽象的概念化:経済や倫理のような目に見えないテーマを理解・説明できる

創造的思考:ゼロから面白いアイデアを生み出せる

多様な視点を評価する力:相手の意見や立場を尊重して議論できる

情報の統合:資料・データを整理し、レポートやプレゼンにまとめられる

批判的・分析的思考: ニュースやSNSを鵜呑みにせず、事実や根拠をもとに判断できる

問題解決力

説得力ある文章力

これらの力は、法律・政治・ビジネス・教育など、いろんな仕事の場面で必要とされます。Philosophyで身につく力は、将来どんな道に進んでも強みになるでしょう。

法・政治・教育・国際関係に進むならベストな選択

Philosophyを特に活かせる分野は、「法学」「政治」「教育」「国際関係」です。

これらの分野では、複雑な制度や社会問題を理解しないといけません。論理的に整理して伝える力が必要なので、Philosophyでの練習がそのまま役に立つわけですね。

実際、Philosophyを学んだ人は「法律・教育・公共政策・IT」などに関する仕事に就く人が多いですね。

Which professions do philosophy graduates pursue? • Technology • Business • Law • Publishing • Government • Advertising • Journalism • Teaching • Sales • Human Resources • Public Relations • Activism • Public Policy, and so on.

引用:MONTCLAIR STATE UNIVERSITY 「The Practical Value of Studying Philosophy

将来これらの道を目指すなら、IB DPのPhilosophyの力が大きな武器になります。しっかり取り組んで将来に備えましょう!

「哲学的な視点」は人生にも役立つ

IB DPのPhilosophyを学ぶと、悩み・不安に落ち着いて向き合える考え方も育ちます。

 Philosophyは「確実な答えを探す」より、「問い続ける姿勢」を大事にする学問です。ですので、自分自身の考えが正しいかを問い直し、他人の意見に耳を傾け、判断する力が育ちます。

・将来どの大学に進んだほうがいいかな?
・自分に合う職業ってなんだろう?

たとえばこう悩んだとき、「じゃあなぜそれを選びたいのか?」を掘り下げて考え、実行できるようになるということですね。

IBのPhilosophyは身近な問題を用いて学習をするため、日常生活に活かせる考え方が身につきます。これが人生における強力な武器になってくれますね。

IB DPのPhilosophyはいろんな可能性を秘めた科目

IB DPのPhilosophyで身につく力・進路との関係を解説しました。

  • 哲学では「考える力」「伝える力」「多面的な視点」が身につく
  • TOK・IA・他教科・大学進学にも応用可能なスキルも育つ
  • SL/HLの選択で負担を調整できるため、未経験でも安心
  • 将来は法学・国際関係・教育・ビジネスなど、多彩な進路に役立つ
  • 正解のない問いと向き合う姿勢が、人生のあらゆる場面で武器に!

・Philosophyを取るべきかわからない!
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