・PPって何?
・どんな力が育つの?
・親としてのサポート方法を知りたい!
IBの中等教育であるMYPのPP(パーソナルプロジェクト)は、何から手をつければいいのか不安になりますよね。
本記事では、PPの基本・育つ力・進め方・サポート方法・成功と失敗事例を紹介します。
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Contents
MYPとPPの基本を3分で理解
IBの中等教育であるMYPでは、学びの最終的な成果として「PP(パーソナルプロジェクト)」という課題に取り組みます。
まずMYPとPPがどんなものなのか、またどのような目的で実施されるのか整理しましょう。
MYP(Middle Years Programme)は国際バカロレアの中等教育
MYPは11〜16歳を対象とする、IBの中等教育プログラムです。
各教科で学ぶ内容と実生活がつながる学びを大切にし、生徒が自分で思考・探究できる力を育てる教育となっています。
たとえば理科では、エネルギーや熱の性質を学びます。
そして家庭で小型ソーラーパネルを設置し、学んだ知識を活かして発電量測定の実験をする、といった具合です。
ただ机に座って学ぶだけでなく、自分で考えながら「こうした方がいいんじゃないか?」と考える力が身につきます。
MYPについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
PP(パーソナルプロジェクト)はMYP5年目の集大成
MYPの最終年である5年目に行われるPPは、生徒がこれまで学んだ力を発揮して取り組む大きな課題です。
関心のあるテーマを自分で選び、探究・制作・報告を行って学びをまとめていきます。
- ペットの飼育方法
- 地域のゴミ問題
- 趣味のゲーム開発
このような生活に密接したテーマを調べて形にするプロジェクトを進めます。
実際にどのようにまとめていくのかは、後ほど説明しますね。
自分で課題を見つけて解決するスキルを身につけ、大学での学習や仕事につながる基礎力を築くのが、PPの目的です。
MYP PPの流れを4ステップで解説
PPは明確な手順に沿って進める、1学年以上をかけて進める長期タイプの課題です。
ここではその手順をわかりやすく整理し、各段階で大切にしたいポイントも紹介します。
Step1|テーマ決め:興味×社会性で選ぶ
まずはテーマ決めですが、通常MYP5年目の前半・または前年度末から始まることが多いです。
テーマを選ぶ軸は、「自分の興味」と「社会との関わり」のバランスを考えて選ぶといいでしょう。
なぜかというと、興味だけだと探究内容が浅くなりやすく、社会性だけだと自分ごとになりにくく探究が続かないためです。
例えば趣味が料理の生徒がいたとすれば、ただ料理の研究をするのではいけません。
「高齢者向けに簡単で栄養ある食事を提案する」
このようなテーマを設定すれば、高齢者の健康課題にも組み込めます。
自分が好きなことを土台にしつつ、世の中にも価値を届けられるテーマを選びましょう。
Step2|計画・調査:スケジュールを立てて行動する
テーマ決定後の計画・調査の段階では、4〜6か月程度の具体的なスケジュールを立てて、一つずつしっかり動くことが大切です。
長期のプロジェクトは途中で迷ったり遅れたりしやすく、時間を無駄にしないようにスケジュールされた行動が必要となります。
- 8月中:資料集め
- 9月:実験・観察
- 10月:試作品づくり
- 11月:最終調整と報告書作成
まずはザックリでもいいので月別計画を立て、その月を週や日単位のタスクに分けて進めましょう。
細かい計画づくりと調査が、プロジェクトを最後までやり抜くカギになります。
Step3|成果物の作成:アイデアを形にする
成果物づくりの段階では、自分のアイデアを「見える形」にする作業が中心になります。
通常3〜4か月で制作・改良を重ねることが多いです。
調査や思考の成果を形にして、評価されるよう具現化しましょう。
たとえばある生徒は「地域の公園をもっと使いやすくする案」をテーマに選び、設計図を描いたり模型を作ったりしました。
模型には「遊具の配置」「動線」「芝生エリア」などを具体的に盛り込み、関係者に説明できるようになっていました。
思いついた案を形にすることで、表現力・論理性がアップし、理解してもらえる成果物になります。
Step4|レポートと発表:学びを言葉でまとめる
最後の2〜3か月に、プロジェクトの成果や学びを、レポートと発表でまとめます。
そのでき具合で評価が決まるので、しっかり準備しないといけません。
レポート
- 作成には数週間から1か月以上かかることもあります。
- 1,500〜3,500語、または10〜15ページ程度で行う学校が多いです。
- 「計画 → 実行 → 振り返り」という流れで整理しましょう。
- 引用や参考文献は正しく記す必要があります。
発表
- 「導入 → 成果・方法 → 学び・得たスキル → 振り返り」の順で組み立てましょう。
- スライド・模型などはシンプルに分かりやすく作ります。
- 話すスピード・時間配分に気をつけ、時間内に収まるよう練習しましょう。
- 聞き手からの質問を想定して、補足説明や資料を準備しておくと安心です。
レポート・発表を自分の言葉で整理し、他の人にも理解してもらえる形にしましょう。
MYPのPPで育つ3つの力
PPでは、座学だけでは身につかない力を伸ばせられます。
ここではPPで特に身につく「主体性」「表現力」「計画力」について見ていきましょう。
自分で決めたテーマを深掘りする「主体性」
PPに取り組むことで、自分で決めたことを責任を持ってやり抜く「主体性」が大きく身につきます。
生徒自身が「何に興味があるか」のテーマを決め、それに沿って調べたり制作したりするのがPPの流れです。
これにより、誰かに指示されるのを待つのではなく、自ら課題を見つけ、考えて行動する姿勢が鍛えられます。
たとえばある生徒は「家庭の料理ごみを減らす方法」をテーマに選び、家庭と地域の食品ロスを減らす方法を探究しました。
・この野菜くずを堆肥に変えるには、どう処理すればいいだろう?
・もしこの方法で匂いが出たら、どんな対策ができるかな?
このように、学びを他人任せにせず、自分で考えて進める主体性が身についていきます。
情報を整理して人に伝える「表現力」
表現力とは、調べた情報を整理して他の人に伝える力です。
PPの制作ではただ作るだけで終わらず、制作した理由や成果を周りに理解してもらうことまで含まれるからです。
たとえばある生徒は「10代向けの健康プログラム」をテーマに選び、「週7日の運動プランと食事ガイド」を設計してプレゼン資料を作成しました。
・誰でもできるように、図とグラフでこの運動プランを説明しよう!
・この用語は難しいから、普段使う言葉に言い換えよう!
その結果、聞いた人から「わかりやすかった」と評価され、表現力が鍛えられた経験となったのです。
相手に伝わる「表現力」は、社会に出てからも必要なスキルです。
PPで積極的に身につけていきましょう。
ゴールに向かってやり抜く「計画力」
決めた目標を達成するまでの道筋を考え、実行する計画力も身につきます。
PPではテーマを選んだ後、「何を・いつまでに・どう進めるか」という設計が不可欠だからです。
テーマを選び終わったら、スケジュールを月単位・週単位で立てていきます。
- 7月末までに調査を終える
- 8月前半で試作品を3つ作る
- 8月後半にテストして改良する
途中で微調整が必要になったら、その度に少しずつ変更を加えることが大事です。
・試作品BよりCを先に作った方が研究が進みそうだな。
・残り時間が短いから、改良案を2つに絞って進めよう!
このようにタスクを細かく区切って微調整をかければ、ゴールを見失わずPPを進められます。
MYPのお子様のPPを支える3つのサポート方法
PPは生徒自身が主体的に進める課題ですが、保護者のサポートも大切です。
手伝いすぎても自立の妨げになり、放任しすぎてもお子様が不安になってしまいます。
お子様の成長を後押ししながら見守るためのサポート方法を紹介しましょう。
①トピック選びは「焦らせず、興味を優先する」
お子様に合ったトピックを選べているかどうかは、PPの成功に大きく関係します。
焦って興味のないテーマを選んでしまうと、次のような状態になりかねません。
- 後半になってテーマに飽きてしまう
- 途中で「これ以上何をすればいいのか分からない」と感じてしまう
- 途中でテーマを変えたくなり、締め切りに間に合わなくなる
お子様1人だと、正しい軸でテーマを選べない可能性もあります
興味のある社会的なテーマを、保護者様は一緒に選んであげましょう。
②計画が崩れたら「責めず、話を聞く」
計画通りに進まないときこそ、責めずに子どもの話を聞く姿勢を持ちましょう。
失敗や遅れは、プロジェクトではよくあるできごとです。
責められるとモチベーションも下がってしまいますので、お子様の気持ちに寄り添う声かけをしてあげましょう。
「なぜ予定通りにやらなかったの!」と問い詰めるよりも、
・今何に悩んでる?
・次どうするか一緒に考えようか。
このように接することで原因と気持ちを整理でき、次のステップを考えやすくなります。
お子様が安心してPPを進められる接し方を心がけましょう。
③迷ったときは「一緒に整理し、次の一歩を決める」
プロジェクト途中で迷ったときは一緒に状況を整理し、次の一歩を決めましょう。
というのもお子様だけだと、迷って動けずに時間をムダにしてしまったり、あいまいなまま進めて失敗しやすくなったりするからです。
- 何の情報が足りないか
- 何を優先すべきか
- 何をやめるべきか
調査が進まないときはこういったことを書き出し、次に取り組む案を2〜3個考えましょう。
こうすることでお子様は自分で判断しつつ、プロジェクトを迷わず進められます。
MYP PPでの成功例・失敗例
テーマ選び・計画・保護者の関わり方などで、PPの成功・失敗が変わってきます。
実際にPPに関わった保護者様のインタビューから、保護者としてどう関わればいいかをみていきましょう。
失敗例|親が主導してしまったケース
プロジェクトのテーマ決定のとき、親としてどう関わろうとされましたか?
最初、子どもが悩んでいたので「こういうテーマがいいと思うよ。」といくつか案を提示しました。
私自身が大学で似た学習をしたことがあったので、つい指示してしまったんです。
その結果、何か問題が生じましたか?
子どもはだんだん「これは親が決めたテーマだ」という意識になってしまったようで、自分からすすんで取り組む気力がダウンしてしまいました。
また質問もあまりしなくなってしまったのです。
もしそのとき、親として取るべきだった対応や注意点があれば教えてください。
例えば「何に一番興味がある」などと最初に聞くべきだったと思います。
子どもの案をいくつか聞き、その中から一緒に絞るみたいな「支え役」に徹する方が良かったかもしれませんね。」
また案を押し付ける前に「この案、本当にやってみたい?」と確かめれば、自分ごととして捉え最後までやり抜く意識が育ったと思います。
成功例|本人の主体性を伸ばした関わり方
PPを進める中で、どの場面で関わりましたか?」
計画が固まってからは、スケジュールの相談に乗りましたね。
「どの順番で進めると効率がいいかな?」と子どもに聞き、選択肢は提示しましたが、最終的な決定は子どもに任せました。
また調査のときに資料探しで難航したんですが、一緒に探しつつもやはり最終的には自分で決めさせましたね。
なるほど。発表やレポート作成のときはどうされましたか?
プレゼン資料を見せてくれたとき、語り方・構成を一緒に確認しました。
細かい修正を親がするのではなく、「この順番の方が伝わりやすいと思うよ」とヒントを出すくらいでしたね。
「そのような関わり方を通じて、お子様にどんな変化がありましたか?」
「自分で判断する回数が増えたので、説明することにも自信を持つようになりました。
発表当日は自分の言葉で堂々と話して、それを聞いた先生からも「成長したのがよくわかる発表でした!」と言われたそうです。」
まとめ|MYP PPを通して育つ「自立」と「探究心」を家庭で支えよう
「MYPとPPの基本・育つ力・ステップ・サポートの工夫」を整理しました。
- PP(パーソナルプロジェクト)はMYPの総まとめ的な役割
- PPを通して育つ力は「主体性」「表現力」「計画力」の3つ
- 「テーマ決め → 計画・調査 → 成果物作成 → レポート・発表」で進める
- 保護者のサポートは「焦らせず見守る」「話を聴く」「選択肢を一緒に整理する」
・PPのテーマを決められない!
・作業の遅れにイライラしてしまう…
・発表のとき自信を持って話せるか不安…
こうした悩みをお持ちの方には、国際バカロレアアカデミー の個別指導・進路相談が役に立ちます。
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