【元IB生監修】IB Geographyで高得点を狙うには?Paper・IA・EE・攻略まとめ

・IAのテーマってどうやって決めたらいいの?
・HLとSL、どっちを選んだらいいんだろう?
・Paperの対策がわからなくて不安…

Geographyはカリキュラムや試験構成が複雑で、つまずいてしまう方も少なくありません。

この記事では、Geographyのカリキュラム・各Paperの特徴・IAやEEの進め方まで、得点アップの学習戦略をわかりやすく解説します。

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Contents

IBのGeographyで身につく3つの力

Geographyはただ覚えるだけの科目ではなく、現代社会で役立つ考え方も育てられます。まずはGeographyでどのような力が身につくのかを解説しましょう。

①地図やデータから「場所と出来事のつながり」を読み取る力

Geographyでは、地図や統計データを読み解く場面が多くあります。そこで鍛えられるのが、「どこで何が起きているか」と「その背景に何があるか」を結びつけて考える力です。

たとえば、

  • 工場が集まる地域では水質汚染が起きやすい
  • 山のふもとの住宅地は、土砂災害のリスクが高い

このように、「場所」と「出来事」の関係性を見つける力が身につきます。

ニュースや社会問題も、「なぜそこで起きているのか?」という地理的な視点で理解できるようになりますよ。

②環境や都市の問題をいろんな角度から考える力

Geographyでは、「環境問題」「都市化」「人口変動」などのテーマについて、いろんな視点(経済・社会・政治・自然環境など)から考察する力も身につけます。

たとえば「森林伐採」がテーマになったとき、

  • 地元の人たちの生活事情
  • 国際的な木材需要や貿易の影響
  • 政治的な開発方針や国際協定

といったように、1つの出来事のいろんな面を考える必要があるんですね。
このような「多角的な思考」は、大学での学びや将来の仕事でも大いに役立ちます。

③論理的に説明する力

「なぜそうなるのか?」「どう説明すれば伝わるのか?」を考える力も、Geographyで身につく力の一つです。

例えば、

「この国の人口密度が高いのはなぜか」

「都市の成長が周囲の環境にどんな影響を与えるか」

といったテーマを、地図やデータを根拠にしながら、自分の意見をしっかり伝えるといった力ですね。

この力はエッセイ試験だけでなく、将来レポートを書いたり、人前で発表をしたりするときにとても役立ちます。

IB Geographyの試験構成とSL/HLの違い

Geographyの各試験の出題形式・評価の基準をしっかり理解し、その準備をしていきましょう。SL(Standard Level)とHL(Higher Level)の違いや、各試験の特徴、採点ポイントなどを解説します。

SLとHLの違い・各ペーパーの解説

Geographyは、Standard Level(SL)とHigher Level(HL)の2つのレベルがあります。それぞれの違いと、Paper 1〜3の試験構成を以下にまとめました。

Paper 1(選択テーマ)

7つのテーマから、SLは2つ、HLは3つを選んで解答します。
テーマ例:

  • Freshwater(淡水)
  • Extreme environments(極限環境)
  • Food and health(食料と健康)
  • Urban environments(都市環境) など

Paper 2(共通テーマ)

すべての受験者が取り組む「コア」試験です。
扱われるテーマ例:

  • Population distribution and change(人口分布と変化)
  • Global climate – vulnerability and resilience(気候変動と回復力)
  • Global resource consumption and security(資源消費と安全保障)

Paper 3(HLのみ)

HL受験者のみが対象。抽象的なテーマの論述試験(エッセイ形式)です。

学習範囲

SL: 特定の地理テーマをバランスよく学びます。

HL: SLよりさらに深く分析し、論理的な記述力も必要です。

Internal Assessment(IA)の分量

SL・HLどちらも同じです。

調査・分析・考察からなるフィールドワーク課題で評価されます。

試験時間

HLの方が長く、Paperの本数・内容が増えるため、集中力と計画力も必要です。

HLは進学や将来の専門分野に地理を活かしたい人に向いており、より広く深い知識と考える力が求められます。自分の目的に合ったレベルを選びましょう。

配点と評価基準のポイント

Geographyの試験では、各paperごとに配点が決まっています。

試験区分SL(Standard Level)HL(Higher Level)
Paper 1(Optional)35%35%
Paper 2(Core)40%25%
Paper 3(Extension)なし20%
IA(内部評価)25%20%
合計100%100%

評価ポイントとしては、

  • 地理の知識・理解
  • 事例を用いているか
  • 空間的・時間的なつながりの説明

などがチェックされます。「地理的な思考」で論理的に答えることが、点数アップのカギです。

高得点には「地理的な思考力」が必要!

「地理的な思考」とは、地図やデータを使って「なぜそうなるのか」「それがどんな影響を与えるのか」を、筋道を立てる考え方です。

たとえば、都市の人口増加について書く場合、「人口が増えている」と述べるだけでなく、

・なぜその地域に人が集まるのか

・その結果、どういう問題が起こるのか

といった因果関係をしっかり説明することが求められます。これがIBにおけるGeographyの「地理的な思考力」の基本ですね。

Paper 1〜3の出題傾向と攻略ポイント

Geographyの試験は、ペーパーごとに出題テーマや形式が異なります。Paper 1・2・3の違いや出題の特徴、学習のコツを整理して解説しますね。

Paper 1(Optional Themes)の傾向と対策

Paper 1は、学校が選んだ「オプショナルテーマ(Optional Themes)」から出題されます。
具体的には、

  • 都市環境
  • 食料と健康
  • 観光・レジャー
  • 地球物理学的災害(地震・津波など)

といった中から、SLでは2つ、HLでは3つのテーマについて解答します。

対策としては、

  • 各テーマのキーワードや構造を整理する
  • 授業で扱った事例やデータを使って記述する練習を重ねる
  • 過去問で「どんな問いが出やすいか」を確認する

ということをしてください。過去問を使って出題形式に慣れておくことも大切ですね。

Paper 2(Core Themes)の傾向と対策

Paper 2は、すべての受験者が共通で取り組む試験で、「コアテーマ(Core Themes)」が出題されます。
扱われる内容には、

  • 人口の変化と分布
  • 気候変動とその影響
  • 資源の消費と持続可能性

など、基礎だけど重要な地理的テーマです。

グラフ・地図・データの分析問題もあるので、知識力だけでなく、情報を読み取って考察する力が必要ですね。

対策としては、

  • 過去問のグラフ・地図の読解練習を重ねること
  • テーマに関する事例を、環境・経済・政治など複数の視点から整理しておく

という準備をしておきましょう。

Paper 3(HL Extension)の構造と記述対策【HLのみ】

Paper 3はHL(Higher Level)のみが受験する試験です。

テーマは「地理空間的な展開(Geographical Perspectives)」で、

  • グローバルなリスクにどう対応するか
  • グローバルな変化に対する地理的アプローチ

など、抽象的かつ広い視点からの論述が求められます。

形式はエッセイ型で、知識 + 事例で深く考察できているかが評価ポイントです。

対策としては、

  • 模範解答を読んで「どう構成すれば説得力があるか」を分析する
  • 模範解答のように自分でも書けるよう練習する

ということを心がけましょう。

過去問に見る頻出テーマと分野ごとの出題傾向

Paperごとに出題されやすいテーマがある程度決まっています。

■Paper 1の頻出テーマ例

  • 都市化と人口変動
  • 気候変動と人間活動の関係 など

■Paper 2の頻出テーマ例

  • 観光の影響
  • 食料の供給と安全保障 など

傾向を把握できると、学ぶべきトピックが明らかになります。過去問をテーマごとに分類して復習し、試験対策を進めましょう。

IA・EE攻略法|得点源にするための視点

 Geographyでは、筆記試験だけでなく「IA(内部評価)」や「EE(課題論文)」もスコアに大きく影響します。それぞれの評価ポイントやテーマ選びのコツ、よくあるミスまでを解説しましょう。

まずはIAとEEの違いを簡単に整理します。

項目IA(Internal Assessment)EE(Extended Essay)
実施内容フィールドワークに基づく地理課題の調査・分析最大4,000語の学術論文
テーマ身近な地理的問い学術的で独自性のある問い
データ収集主に自分で調査・測定(一次データ)一次・二次データどちらも可
評価ポイント問いの明確さ調査と考察が一貫しているか問いの独自性論理的で理解しやすい構成
分量1,500〜2,000語程度最大4,000語

それでは、それぞれの攻略法を詳しくみていきましょう。

IAの評価ポイント|フィールドワークの活かし方

IA(Internal Assessment)は、生徒自身が設定した地理的な問いに対し、実地調査をして分析・考察をする課題です。

評価ポイントは以下の通り。

  • テーマが明確であること
  • データの収集と分析をできていること
  • 結論が調査データとちゃんとつながっていること
  • 「距離」「場所」「空間の分布」など、地理的な思考を使って説明できていること

たとえば、「都市の土地利用の変化」や「川の流れの速さと傾斜の関係」など、実地調査と結びついたテーマが取り組みやすく、高得点を狙いやすいです。

EEで必要な「独自性」|テーマ設定のコツ

EE(Extended Essay)は最大4,000語の論文で、より学術的な探求が求められます。

まず大切なのは、「地理的な問い」をしっかり立てること。たとえば、

「首都圏の住宅価格に与える、鉄道路線の影響」

「観光地の土地利用と環境への影響」

などです。

ポイントは、他の人とは違う切り口や視点を意識することです。論文にオリジナリティが出て高く評価されますよ!

EEで人気・成功しやすいテーマ例

EEは、テーマ選びで成功の8割が決まるとも言われます。

評価が高いテーマの例としては、

「都市再開発が地域の住民構成に与えた影響」

「河川の水質変化と、周辺の土地利用の関係」

「観光開発が自然環境と経済に与える影響」

などがあります。これらのテーマは、

  • テーマ自体が自分たちの生活に近い
  • 現地調査や統計データが手に入りやすい
  • 具体的な分析がしやすい
  • 論理的に深掘りしやすい

という共通点があります。自分の生活・関心のある地域に近いテーマを選ぶと、取り組みやすくて説得力のある論文を作りやすいですね。

よくあるミスとその回避策

IAやEEでは、以下のようなミスがあると評価が下がります。

  • テーマがあいまいで、焦点が定まっていない
  • 調査と結論がつながっておらず、論理性が欠けている
  • データを並べるだけで終わっており、分析が不足している

たとえば「人口について調べる」というテーマはどうでしょうか?範囲が広すぎるので焦点がぼやけてしまい、具体的な分析が難しくなりますよね。

こうしたミスを防ぐには、最初の段階で「何を・なぜ・どうやって」調べるのかをはっきりさせることが大切です。先生に早めに相談し、フィードバックをもらいながら進めると、内容のズレを防げますよ。

勉強を効率化する!おすすめリソース4選

信頼できる教材やツールを使えば、勉強の質が大きく変わります。Geographyの勉強で役立つ、5つの学習リソースを紹介しましょう。

IB Geography公式ガイド・ノート

IB公式のシラバスや科目ガイドは、最も信頼できる基本資料です。「試験で何が見られるのか」「どんな知識やスキルが必要なのか」が示されているので、必ず目を通しておきましょう。

学校の先生が配布する要点まとめノートや、授業で取った学習ノートも復習に便利です。

試験前には、公式ガイドをチェックしつつ、ノートを使って重要事項を整理しましょう。

過去問・マークスキームの入手先

出題形式や傾向を知るために、過去問はとても大切な教材です。

特に重要なのが、マークスキーム(採点基準)とセットで確認すること。どんな答えが高く評価されるのかが分かるからです。模範解答の表現や構成と、自分の解答と比べてレベルアップしましょう。

過去問とマークスキームは、学校で配られることもありますが、IB認定校のポータルサイトや教師から個別で教えてもらうことが多いです。

無断公開されているサイトは使用せず、正しいルートで手に入れましょう。

地図問題に強くなるオンラインツール

Geographyでは、地図を使った問題が頻繁に出題されるため、地形や地図記号に慣れるツールを活用してください。

Google Earth

衛星写真で作られた地球全体を探索できる無料ツールです。ズームや回転機能を使えば、山の標高・川の流れ・都市の広がりなどを立体的に把握できます。

■ArcGIS

土地利用の変化や交通網などを、データで本格的に分析できます。学校が契約していれば無料利用できますので、先生に確認してみましょう。地図分析力を高めたい人にオススメです。

REI

アウトドア関連の商品サイト。地形図の読み方・等高線の形状・コンパスの使い方などの情報をまとめてくれています。

教科書の図だけでは理解しにくい内容も、これらのツールを使えばぐっと身近に感じられるでしょう。

復習と暗記に使えるフラッシュカードアプリ

用語の暗記と復習には、フラッシュカード形式のアプリを使いましょう。

なかでも「Quizlet」というフラッシュカードアプリは、IBのGeography用学習セットがたくさんあるので、世界中のIB生が使っています。スキマ時間にスマホで復習できるため、日々の習慣にも取り入れやすいツールです。

IB Geographyでよくある悩みQ&A

Geographyの試験形式・論述の書き方などの悩みに直面することもあるでしょう。ここでは、つまずきやすいポイントをQ&A形式で解説します。

等高線やコロプレスマップがうまく読めない

等高線の地図って、線がいっぱいあってどっちが高いのかよく分からないんです…。コロプレスマップも色の濃さで何を表してるのか混乱します。

等高線は、線と線の間隔が狭いほど傾斜が急です。標高の数字を確認して、どちらが高い場所か判断するのがコツですね。

コロプレスマップは色でデータの大きさを表していますが、必ず凡例(れい)を見るようにしましょう。凡例を見れば「濃い=多い」のか「濃い=少ない」のかが分かるので、それをもとに読み取ってください。

選択テーマが難しく感じるけど変えてもいい?

Paper 2の選択テーマが難しすぎて、別のテーマに変えたほうがいいのかなって悩んでます…。観光よりも都市の方がまだ分かる気がして。

途中でテーマを変えるのはおすすめしません。テーマが変われば資料も変わるから、今まで学んだ内容がムダになってしまうことが多いんですね。

もし難しく感じるなら、まずはそのテーマで実際にどんな質問が出されているかを、過去問で見てみましょう。「原因を説明しなさい」なのか、「2つの地域を比べなさい」なのかで、必要な準備や考え方が大きく変わります。

出題されやすい問いの形が分かると、「このテーマでは何を求められているのか」が見えてきて、学ぶポイントがはっきりしますよ!

IAで他の人とテーマがかぶったらどうする?

クラスの友達とIAのテーマが似ていて…。これって減点対象になりますか?やっぱり変えた方がいいんでしょうか?

同じテーマでも、データの集め方や分析の視点が違えば問題ないですよ!

たとえば「川の流速」でも、測定場所や考え方が違えば評価されるので安心してください。気になるときは早めに先生に相談するといいですね。

採点者に伝わる答案の書き方は?

自分ではちゃんと書けたと思っても、点数が低いんです…。どうやったら採点者に伝わる答えになるんでしょうか?

大事なのは、「どうしてそうなるのか」を筋道立てて説明することですよ。

たとえば、「人口が増えると住宅が足りなくなる」というだけじゃなく、「なぜその地域で人口が増えているのか」「住宅不足がどんな影響をもたらすのか」まで書くと、論理が伝わりやすくなりますね。

あと、地理的なキーワードをしっかり使うのもポイントです。「分布」「スケール」「空間的なパターン」などの用語があると、理解の深さが伝わりますね。

これだけ押さえればOK!IB Geography試験対策

Geographyのカリキュラム・試験対策・IAの進め方まで、得点力を上げる戦略を解説しました。

  • SLとHLでは学ぶ内容や試験構成に違いがある
  • 各Paperでは、出題テーマごとの構成や記述形式に慣れておく
  • IAではテーマ設定の工夫・フィールドワークの活用が得点につながる
  • EEや地理ツールの使い方を通して、分析力や論述力をアップさせる

・IAのフィードバックがうまく活かせていない気がする…
・志望校の要件を満たす選択科目の取り方が分からない…
・SLで進めているけど、HLに切り替えるべきか悩んでいる…


そんな方には、IB専門塾「国際バカロレアアカデミー」の個別指導や進路相談が役立ちますよ。

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